INCURABLE DISEASE

難病領域

難病領域は、医療上の必要性が高いにも関わらず、患者が少ないことにより、医薬品や医療機器の研究開発が進まないという課題があります。そのような領域だからこそ、わたしたちのような小さな企業が機動力を活かし開発を行うことができると考えております。わたしたちが開発したLIC TRAINERはその第一弾であり、これまでも多くの患者さんにご使用いただいております。必要としている患者さんがそこにいる。わたしたちが難病領域の医療機器を開発する理由はその一点でしかありません。

LIC-TRAINER2のイメージ

PURPOSE: INCURABLE DISEASE

NAME: LIC-TRAINER 2

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LIC TRAINER

LIC TRAINERはALS(筋萎縮性側索硬化症)等の神経筋疾患の患者さん向けの呼吸リハビリ機器として、2016年9月に発売された医療機器です。開発は、国立精神・神経医療研究センターとわたしたちカーターテクノロジーズの共同で行いました。また、更なる機器の改良を行い2021年10月には、感染症予防のための滅菌対応と安全弁の可変機能を追加した新たなLIC TRAINER2が発売になりました。これまでも多くの医療機関や患者さんより評価をいただいている機器であり、カーターテクノロジーズにとっても自社開発品の第1号品であることから、わたしたちの原点であり、企業としてのアイデンティティです。

LIC TRAINER

LIC TRAINER

2016年9月に発売したALS患者のための呼吸リハビリ機器「LIC TRAINER」。発売と同時に大きな話題を呼び、さまざまな医療機関・リハビリ施設で使用された。

LIC TRAINER

LIC TRAINER 2

LIC TRAINERの発売から5年。安全性と滅菌性に改良を施し、2021年10月に発売された現行モデル。

LIC TRAINER開発の背景

神経筋疾患の患者さんの生命予後には、呼吸や咳嗽に必要な筋力低下によって引き起こされる呼吸障害が大きく関係します。病状が進行すれば肺活量が低下し、結果として胸郭や肺の柔軟性が損なわれ、呼吸障害が発生します。

現在、患者さんの呼吸障害に対する医療ケアは、非侵襲的陽圧換気療法(noninvasive positive pressure ventilation ;NPPV)や気管切開下で行われる侵襲的陽圧換気療法(tracheostomy positive ventilation ;TPPV)等の人工呼吸器を用いた対症療法が行われています。また、患者さんは、呼吸障害により肺の拡張など胸部の活動量が減少することから、肺や胸郭のコンプライアンス(柔軟性)が著しく低下することが知られています。肺および胸郭のコンプライアンスの低下は、患者さんの息苦しさや疲労感、および不安や精神的苦痛を増強させるため、コンプライアンスを維持することが安楽や生命後に望ましいため、適切な呼吸リハビリテーションが必要となっています。

神経筋疾患の患者さんに対する呼吸リハビリテーションは、これまで慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease ;COPD)に対して行われる腹式呼吸や呼吸介助等が同様に行われていました。しかし、肺が虚脱し拘束性換気障害を起こしている患者さんにおいては、安楽が得られず、また有効性を示すことが困難でありました。このような中、近年は有効な呼吸リハビリの1つとして、最大強制吸気量(Maximum Insufflation Capacity ;MIC)の測定を実施することで肺を加圧することがリハビリとなるとして、臨床現場では、本手法による肺や胸郭の柔軟性(コンプライアンス)の改善が実践されています。しかし、MICはair stack(息止め)する能力が不可欠であるため、陽圧に慣れていない患者さんや球麻痺を起こしている患者さん、また気管挿管や気管切開をした患者さん等の呼吸障害が進行した場合には実施できないという問題点がありました。その解決策としてBach(2008)らが提唱した一方向弁を利用した最大強制吸気量(Lung Insufflation Capacity: LIC)があり、国内の先進的な医療機関でも実践されるようになってきています。これはair stack(息止め)ができない患者さんに対しても一方向弁を利用することでMICかそれ以上の吸気量が得られることから、安全かつ多くの患者さんに使用できることが期待されています。

しかしながら、LICは専用の機器がなく、各医療機関でいくつかの人工呼吸回路を組み合わせた自主製作機器が利用されていたため、一般化が難しく、多くの患者さんへ積極的に導入できるものではありませんでした。そこで、LICを有効的かつ安全に実践できる呼吸リハビリテーション機器の開発が行われ、誕生した機器がLICトレーナーであります。

LIC TRAINERの原理

LICトレーナーは治療機能と評価機能の2つ機能を有しています。

治療機能

LICトレーナーは、本体の一次側(IN)に蘇生バック(別売)を、二次側(OUT)にマスク(別売)を装着し、呼気ラインを患者さんまたは補助者さんが手指で押え蘇生バックで加圧します。加圧する際、本体内に内蔵されている一方向弁により息止めができない患者さんに対しても陽圧を保つことができます。患者さんが耐えうる最大圧まで加圧したのち患者さんまたは補助者さんが呼気ラインを開放することで、患者さんの肺胞を膨縮させ、肺及び胸郭の柔軟性を維持・改善します。

評価機能

LICトレーナーは、二次側(OUT)とマスク(別売)の間に簡易流量計(別売)を装着することで、患者さんの最大強制吸気量(Lung Insufflation Capacity: LIC)を測定することができます。

図説 LIC TRAINERの原理

LIC TRAINERの特徴

LICトレーナーは高い圧力でもリークしない気密性を有しています。

有効性

LIC練習の有効性は、患者さんに適切な陽圧をかけることで、肺や胸郭の柔軟性(コンプライアンス)が維持・改善されます。そのため、LICトレーナーは、高い圧力でもリークしない気密性を有しております。また、air stack(息止め)ができない患者さんに対しても陽圧を保てる一方向弁が内蔵されております。また、LICトレーナー2は感染症対策として、オートクレーブ滅菌対応となっております。

LICトレーナーは高い圧力がかかると自動脱気する安全弁がついています。

安全性

LIC練習の特徴は患者さんの肺に陽圧をかけるため、想定されるリスクとして肺損傷が考えられます。そのため、LICトレーナーには高い圧力がかかった際に自動的に脱気する安全弁が組み込まれていました。更にLICトレーナー2では、その安全弁の圧力を変化させることができるようになりました。(4段階可変)患者さんの状態に合わせて、安全弁の圧力設定を変更して、ご使用いただけます。

LICトレーナーは患者が呼気開放のタイミングをコントロールできるようにチューブがついています。

使用性

LIC練習は患者さんに適切な陽圧をかけた後、呼気解放し、肺や胸郭の柔軟性(コンプライアンス)の維持・改善を行います。この呼気解放は、患者さん自身が解放までの圧力、タイミングをコントロールできるように呼気ラインが装着されております。また、患者さん自身が呼気ラインを指で押さえることができない際は、呼気ラインを取り外し、補助者さんが呼気解放をコントロールすることも可能です。

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適応と開始目安

適応疾患

LIC練習は筋萎縮性側索硬化症等、運動神経の障害による進行性の呼吸筋麻痺で、胸郭運動が低下し、十分な吸気および呼気が行えず肺活量の減少が生じる拘束性喚起障害の患者さんへ適応があります。

LIC練習が適応となる主な疾患は以下のとおりです。

  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  • 筋ジストロフィー
  • ミオパチー
  • 高位脊髄損傷
  • 重症筋無力症
  • ポンペ病
  • 脊髄性萎縮症(SMA)
  • ギランバレー症候群
  • ポリオ後症候群
  • ニューロパチー
  • パーキンソン病および関連疾患
  • 両側横隔膜神経麻痺

開始の目安

「深呼吸ができないと感じたとき」

LIC練習の開始の目安は、定期的な呼吸評価の中で、標準肺活量(%VC)80%以下、または肺活量が2000ml以下になった際、導入をお勧めします。また、LIC練習は症状の進行の過程でも適応が可能です。発症初期や進行期の適応に加え、症状が進行し球麻痺症状や気管切開している患者さんへの適応もあります。

LICトレーナー使用可能期間
LIC開始の目安
肺活量: 2000ml
%VC: 80%以下
NPPV
非侵襲的人工呼吸器
使用開始
TPPV
侵襲的人工呼吸器
使用開始

気管切開

肺活量 %VC

病気の進行度

LIC練習の副作用(相対的禁忌)

LIC練習は肺実質(慢性閉塞性肺疾患[COPD]、肺気腫、ブラ、気胸の既往)に問題のある場合は行わないでください。

※LIC練習の実施は必ず主治医と相談し、理学療法士等、適切な指導の下、実施してください。

LIC STORY

少しでも呼吸状態が良くなりたいという想いでLICトレーナーを使用する患者さんたち
患者さんへより良いリハビリを届けたいという想いでLICトレーナーを使用する医療従事者たち
有効で安全で使いやすく、医療現場の声を実現したいという想いでLICトレーナーを開発した技術者たち
それぞれ立場は違いますが、LICトレーナーにはそれぞれの人たちの熱い想いがあります。
そんな想いをLIC Storyとしてご紹介します。

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