前回の記事では、金型の種類ごとに分類し、当社が得意としている金型は「単発プレス金型」であることを紹介しました。
医療機器を作り出すものづくり技術「金型製作とプレス加工」分類編
今回の記事では、この単発プレス加工を行ってどのように医療機器に仕上げていくのかというプレス加工と医療機器の繋がりをご紹介していきます。
プレス加工はどのような製品に適しているか?
まず、プレス加工の特徴からお話していきます。前回の記事でも触れましたが、プレス加工は板状の材料を金型の間に強い力で挟み込むことにより材料を変形させる加工方法です。形状を打抜いたり、曲げたり、絞ったりする加工です。つまり、板状の金属で出来ている部品等はプレス加工に向いています。例えば下記の写真はある医療機器に用いる部品です。最終的には、一番右の形状に仕上げるのですが、一枚の板材から形状を打ち抜き、穴を開け、曲げる工程をプレス加工にて行っております。
このように、金属の板状の材料を用いた部品に対して、プレス加工は有効な加工方法と言えます。
プレス加工は大量生産に適しているか?
一般的なことですが、金型を用いて成形する加工方法は、同じ形状の部品を簡単に速く、そして安価に製造するために用いられる加工方法と言えます。つまり見出しの「プレス加工は大量生産に適しているか?」に対する答えは「YES」ということになります。当社でも1点ものの部品に対しては、フライス加工やワイヤー放電加工を用いて形状を作り出す方法を採用し、数百個、数千個という単位になる場合は金型での製作を推奨しております。
しかしながら、大量生産ばかりでないのが、医療機器に用いる部品たちです。当社に依頼がある医療機器部品は10~100個という数量が最も多いロットとなります。もちろん、試作品などで1個というオーダーもありますが、こちらは上述したとおりプレス加工以外の方法で加工することが多いです。
では、当社では10、100というロット数に対してどのように対応しているのか?そこでカギとなるのが、プレス金型の単発式と言えます。金型には単発式と順送式と2種類あることは前回お話しましたが、この単発式のプレス金型が医療機器部品でよくある少量多品種の製造に大変適しているのです。単発式は読んで字の如く「単発」で加工していきますので、材料の供給と払い出しも作業者が手作業で行うことが多いことから少々手間もかかりますが、多品種への対応という観点ではフレキシブル性が高いと言えます。一方、順送型は材料を供給する装置が必要になり、大掛かりな設備となりますので、段取り替えするにしても、金型の交換から供給装置、自動で搬送することから材料の送り位置の確認など作業が多く発生します。
また、最大のメリットは金型製作におけるコストと考えます。単発式は順送式に比べ、コンパクトでシンプルな金型の作りになることから、製作コストも低く抑えられます。あくまで一般論であり、加工対象の形状やサイズにもよりますので、一概に単発型が安いというのは少々乱暴ですが、そのような傾向があるとお考え下さい。また、当社には汎用型として、曲げや穴開け等の金型は保有しておりますので、対象の部品形状が上手くマッチすれば、金型代は不要でプレス加工費のみで部品を製作することも可能です。(医療機器部品は特殊な形状が多いことから、汎用タイプは使えないことが多いのですが…)
では実際に当社で製作するプレス金型はいくらぐらいか…と言いますと、平均的には15~25万円ぐらいの金額が多い傾向にあります。プレスの加工代は1円単位から10円、100円と結構差があります。これは、プレスする工程数による違いがありますので、一概には言えませんね。お見積り依頼をいただければ、早期にご回答させていただきますので、ぜひご相談下さい。
さらに当社では、機器の操作盤等に使う銘板用の金型も得意としております。写真にありますようにシート状の材料に対してエンボス加工を施し、操作ボタンとして使うことができるように絞り型を製作しております。
いかがでしょうか?
プレス金型は一般的に大量生産向きで製作コストも高いと考えられますが、当社が得意としている単発型を用いれば少量多品種の医療機器部品も十分、プレス加工で対応できるということをご理解いただけたでしょうか?
プレス金型での部品加工について、何かご不明な点などありましたら、お気軽にお問い合わせください。当社は医療機器の製造サービスがメイン事業ですが、プレス金型に関しては、業界を問わず対応することもできますので、ご相談下さい。