© タイトル:ブラックジャックによろしく 著作者名: 佐藤秀峰サイト名: 漫画 on web URL: http://mangaonweb.com/

 今年のゴールデンウィークも昨日で終わり、今日から仕事が再開という方も多いかと思います。当社は、カレンダー通りの営業としていましたが、個人的には溜め込んでいた仕事をやっていました。伝票整理や補助金申請用の資料作成等を進めながら、5月から着手を予定している新しい試作機の設計打ち合わせをしたり、あまり普段と変わらない状況でした。(夜は遅くまで友人知人と飲む機会が多かったですが)

 そして、Blogの話ですが、前回の投稿から1ヶ月までは経っていないのですが、3週間ちょっと経過してしまいました。Blogでの情報発信は営業活動の1つであり、潜在的なお客様に対して有益な情報をお届けし、新しいお客様を顕在化するという重要な役割があります。更に、更新頻度が高い方がSEO的にも評価されるようで、定期的な記事の投稿が重要と言われております。しかしながら、現在、開発している医療機器の試作機製作や評価作業、更には新規お問い合わせ対応など忙しくしているため、どうしてもBlogやFacebook等での情報発信が後回しになってしまいがちな今日この頃です。大手の企業でしたら専属のWeb担当者がいたり、社員の持ち回りでBlog記事を考案したりと対応できるのでしょうが、当社の場合は社長である私がWeb担当でそもそも2人しかいませんからね。…そんな風にマンパワーの不足を嘆いたり、言い訳をしたりしても何も変わらないので、そろそろ今日の本題に入ります。

 今回の記事は、先日いただいた珍しいお仕事の紹介です。タイトルにありますように「不良品を作れますか?」という内容が今回のテーマです。普通に考えたらワザと不良品を作ることはあり得ないことですよね。しかしながら、確かに不良品が欲しいというご相談でした。まずは、なぜ不良品が必要なのか、具体的にその背景からお話していきます。

不良品を必要とする背景

 問い合わせ主は、医療機器や医薬品を製造するための産業機械を製作するメーカー様でした。日々、高品質の製品を製造するために産業機械の技術は向上しているそうですが、それでも不良率がゼロになることはないとのこと。そうなると不良品を市場に出さないためには、製品検査が重要になってきます。当社で製作している医療機器の試作機についても、製作が完了すると、外観検査や機能検査等を行い、設計した通りの仕様に仕上がっているかを検査した後に出荷しています。今回、お問い合わせをいただいたメーカー様は、その検査を自動で行う機械を開発しているそうで、その自動検査機の性能を評価するために、不良品サンプルが欲しいとのことでした。
「なーんだ」という答えかも知れませんが、一定水準の品質を保つためには、不良品の限度見本は大変重要となります。当社の場合も、現在は試作機を中心に製作しているので、1点1点その都度、仕様に合わせて検査を行いますが、今後、製品化され量産するようになると、その検査水準を一定に保つために不良品の限度見本を設定することになるかと思います。通常、不良水準は、各メーカーで設定することから、このような限度見本の製作も社内で行われることが一般的かと思います。しかしながら、今回のお客様は、医療器を製造しているメーカーではなくて、あくまで医療器を製造するための装置を開発製造しているメーカーであることから、どの程度の水準で不良品を設定すればよいのかノウハウがないとのことで、当社に問い合わせをいただきました。そして、今回は医療器の外観に傷が付いた不良を製作して欲しいということで、当社でサンプル製作をお引き受けしました。

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不良品だったら何でも良いのか?

 いつもは、製品の外観に傷が付かないように仕上げ丁寧に対応したり、取扱いに注意したりするのですが、ワザと製品に傷を付けるというのは、少々不思議な感覚ですね。早速、実際に製作する医療器のサンプルをいただき、傷を付けようと考えたのですが、傷を付ければ何でも良いという訳ではありません。
 そこで、先ずは、どのような種類の傷を付けるかを検討しました。そのために、対象の医療器の製造工程の説明を受けました。どのような工程で、そのような作業を行い、製品が完成するのか、その工程からどのような傷が発生するかを検討し、種類を設定しました。
 次にどの程度の傷のサイズ、深さにするかを検討しました。これは一般的な製品の外観にどの程度の傷ならば許容されるかを考え、設定をしました。人間の目は大変優秀なので、小さな傷も見逃さないのですが、その傷が製品の品質に対してどの程度影響があるのかを考え設定しました。何でもかんでも不良品と判定してしまうと、製品の歩留まりが悪くなりコストは上がり、いわゆるオーバークオリティと呼ばれる状況に陥っていまいます。日本のメーカーが製造する製品の品質水準は大変高いですが、品質は高ければ良いというものではなく、その製品の仕様に合った「適切な品質」であることが重要と…個人的には考えています。

不良品を作り出すのは難しい…

 どのような種類の傷を、どの程度付けるかを決めた後、早速、サンプルの製作に着手しました。ただ傷を付ければいいのだから、サンプル製作は簡単だろうと思っていた所、これは結構苦戦しました。加工機で傷を付けようとすれば、設定した傷よりサイズが大きくなってしまったとか、手作業で細かく傷を付けようとすれば、一定した傷を作り出すことができず…。意外にワザとやることは難しいのだなと感じました。それでも、そこはモノづくり企業ですから、専用の治具やガイドを作り、設定した通りのサンプルを作り出すことが出来ました。

 各サンプルと一緒に、どのような工程のどのような作業を想定して作った傷かをデータシートに取りまとめ、合わせて納品させていただきました。

 今回は、医療機器のサンプル製作と言っても風変わりのご相談でしたが、何とか対応することが出来ました。お客様のニーズは様々ですが、当社は小規模企業であることをメリットとし小回りの良さと柔軟性を売りに、今後もお客様のニーズに応えて行きたいと考えています。
 ぜひぜひ、医療機器の開発・製造に関してお困り事がありましたら、お気軽にご相談下さい。よろしくお願いいたします。