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毎日、暑いですね。暑すぎて溶けてしまいそうな毎日ですが、頑張って事業を展開している当社であります。さて、毎度のようにブログを更新せずに1ヶ月以上が経過してしまいます。(特に今回の休眠期間は長いですね)やはりこのようなコラム的なブログは継続が難しいです。毎回、イントロで更新できない言い訳を書いている訳ですが、そろそろ何とかしたいものであります。

さて、今回の記事は、前回の「レトラクターを作ってみた」の続編です。実際にどのようにして製作したのか、材料の選定から加工作業、更には表面処理のお話までを紹介します。

1. 材料の選定

外科手術で使用する手術器具は、使用前に洗浄滅菌が行われます。そうなると、衛生面を考え、錆にくいステンレス鋼を使用するのが最も適切です。また、使用する場面を考えると、しっかりと組織を固定するためには強度も必要になりますので、焼入れと言われる熱処理を行うことで強度が増すマルテンサイト系のステンレスを用いることがあります。SUSのナンバーでいいますとSUS440CやSUS420J2等がその種類となります。
もちろん、お客様のニーズをお聞かせいただければ(例えば、「とにかく硬いもの」とか「コストが安いもの」等)、それに適した材質を選定することは可能ですので、お気軽にお申し付け下さい。
そして、今回は形状確認のための試作品でしたので、最も一般的に使用されているステンレスであるSUS304(オーステナイト系)を用いて製作しました。厚みは3.0mmのものを使用しました。

2. 形状の切り出し

材料の選定が終わりましたら、次は早速、形状を作ります。平板から設計した形状に切り出すのですが、当社の場合はワイヤ放電加工機を用いて、カットすることが多く、今回もワイヤ放電加工にて、形状を切り出しました。なぜ、ワイヤ放電加工を用いたかと言いますと、弊社の工場に設備があるからという回答が実情ですが、加工対象物の特性に起因しております。最近ではレーザー切断加工も一般的ですが、厚みのある金属材料はレーザー加工するためには大きな設備が必要になりますが、ワイヤ放電加工は、厚みは気になりません。機械の許容値はありますが、基本的に通電できる材料でしたら、厚みに関係なく、加工が可能となります。
その他、同様の形状を複数製作する場合は、金型を製作してロストワックス法等で成型する方法もありますが、金型の製作費用が必要になることから、試作品やサンプル品の形状加工には不向きであります。更に最近では、金属材料を用いた3Dプリンターも開発されていますので、近い将来、積層して成型する技術が一般的になることも考えられます。(金属用の3Dプリンターは数千万円ぐらいするようで、まだまだ普及には時間がかかるかも知れません)

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3. 穴加工

製作したレトラクターを確認いただけば分かるように、製作したサンプルには3つの穴が開いております。これらはボール盤で加工します。更に穴の面粗度を向上させる場合は、リーマ仕上げを行うケースもあります。

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4. バリ取り

バリ取りとは、材料の加工後に発生する角の部位を削り落として、滑らかに仕上げる作業です。特に今回製作したレトラクターはドクターが実際に手に持って作業することから、バリがあるとケガをしますし、何より患者様の身体を傷付けてしまうことになります。地味な作業ではありますが、大変重要な作業工程になります。バリ取りは基本的には機械加工で行います。フライス盤を用いて、丁寧にバリを取り、最後は手仕上げ用のヤスリ等を用いて仕上げを行います。

5. 曲げ加工

切り出した状態のステンレス材料を規定の角度に曲げる工程です。量産品を曲げる場合は、曲げるための金型を製作し、プレス機を用いて曲げ加工を行いますが、今回のように1点もの場合は、梃子の原理を用いた専用治具を作り、手作業で曲げていきます。ここには金属加工屋のノウハウがあり、あまり詳細な紹介はできませんが…。

6. 表面仕上げ

最後の工程として、表面の仕上げ処理を行います。ブラスト処理や電解研磨、バフ研磨等の表面処理は当社では行わず専門の仕上げ加工屋さんに依頼しますが、ご希望に応じて様々な仕上げ方法に対応するフォーメーションを組んであります。
今回製作したレトラクターはブラスト処理を施しました。ブラスト処理とは、金属表面に砂やビーズ等を圧縮空気により衝突させる処理であります。サンドブラストならば砂を、ショットブラストならば研磨材を吹き付けて処理する方法です。また、ブラスト処理には表面が梨のように仕上がることから梨地処理と呼ばれることもあります。仕上がりは独特の艶消し状態となり、鏡面仕上げ等に比べると小傷が目立ちにくくなります。手術の場面で使用する器具については、照明下での反射を嫌う場面が多く、このような艶消し処理が使用される傾向にもあります。

このように複数の工程を経て、手術器具の試作品に仕上がります。1点ものですから、手間や時間がかかり、少々コストも割高にはなりますが、ご希望の形状や処理方法等も選択できるよう体制は整えております。ぜひオーダーで製作したいというご要望がありましたら、お気軽にお問い合わせいただければと思います。

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© タイトル:ブラックジャックによろしく 著作者名: 佐藤秀峰サイト名: 漫画 on web URL: http://mangaonweb.com/