008.02

 前回の事前相談編で紹介した通り、事前相談で構造設備に関するアドバイスをいただき、業者コードの登録も完了した。じゃあ早速、申請書を作って県庁に提出だ!という流れで間違いないのだが、当然ながらその前提にあるのは、構造設備規則に適合した製造所が完成していることである。ここまで「自分でできたシリーズ」を読んでいただいている方も読んでいない方も、今一度、準備編を確認いただき、まずは製造所の完成を目指していただきたい。

自分でできた!町工場が医療機器製造業を取得する方法 準備編①

自分でできた!町工場が医療機器製造業を取得する方法 準備編②

自分でできた!町工場が医療機器製造業を取得する方法 準備編③

自分でできた!町工場が医療機器製造業を取得する方法 準備編④

 では、製造所は完成し構造設備規定への適合も十分確認したという前提で、本題の申請書の話に移る。実際に提出しなければならない書類は複数あるが、埼玉県の場合はホームページに大変丁寧に案内が出ている(おそらく他の都道府県でも同様だと思うが)ので、それほど難しいものではない。順を追って確認していくことにする。なお、紹介する事例は弊社が実際に申請に使用した書類であり、提出先は埼玉県、医療機器製造業の区分は一般である。ご了承いただきたい。

1.FD申請

 最初にやるべきことは、FD申請書を作成することである。FD申請にはソフトが必要であるので、ここからダウンロードしてPCに専用ソフトを準備することから始める。
ソフトをダウンロードした後は、ダウンロードページにある基本操作マニュアルやQ&A等を参考にしながら、入力を進めていただければOKである。最初は戸惑うかもしれないが、基本操作マニュアルやQ&Aは大変丁寧な解説が記載されているので、初めての私でも何とか書類が作れたので大丈夫だと思う。
入力が完了したら、申請書(鑑)の印刷とDTD一覧を印刷し、それらを申請時に提出する流れになる。申請書(鑑)については、印刷すると製造所の名称、製造所の所在地、許可の区分だけが入力され、その他の項目は空欄で印刷される。(一番下部に申請者の住所、氏名は印刷されるが)なぜ空欄なんだ?と不安になるかもしれないが、それでOKらしいので、そのまま提出いただいて大丈夫である。印鑑は、申請者氏名のところと右上の空欄に捨印を押した。
 加えて、当社が申請書を提出した際に指摘を受けた点が3項目あるので、事前に紹介しておく。

1) 申請者の氏名の前に「代表取締役」と入力すること。
2) 申請者の欠格条項には「なし」だけではなく、「全員なし」と入力すること。
3) 責任技術者が代表取締役であっても会社との使用関係を証する書類を提出すること。

 これらに注意しながら申請書の作成を行っていただければと思う。最後にこれらのデータをCDに出力し提出用とすることをお忘れなく対応いただければと思う。出力方法は「提出用出力」というボタンがあるので、それを押して指示に従えばOKである。

2.添付書類

 続いて添付書類の準備だが、添付書類は①各種取得して提出する書類と②自社で作成する書類の2種類に分かれる。それぞれを確認して行くことにする。

2.1.各種取得して提出する書類

 以下に提出書類を記載するので、確認の上、準備をしていただきたい。

・登記事項証明書(法人の場合)
 いわゆる登記簿というものである。当社の場合は「履歴事項全部証明書」を添付した。会社の目的のところに医療機器の製造に関する業務が含まれていることがポイントになる。

・診断書
 法人の場合は業務を行う役員の診断書が必要であり、精神の障害がないことや薬物中毒者でないことを証明するための書類である。埼玉県の場合は、診断書のフォーマットはホームページからダウンロードできるので、それをプリントアウトし、病院に相談すれば、対応いただける。当社の場合は、代表取締役である私の診断書を添付した。

・責任技術者の資格裏付け書類
 これは卒業証明書でOKである。当社は責任技術者である私の高等専門学校 工業化学科を卒業した証明書を添付した。ちなみに取得した単位等を示す必要はないようで、学業成績証明書は不要であった。

2.2.自社で作成する書類

 2.1.の書類の準備と並行し、以下の書類は自社で作成する必要がある。

・業務分掌表
 これは、会社の組織図的なものを示し、この医療機器製造業を管掌する役員は誰なのかを明確化するために必要な書類である。当社の場合は、役員が代表取締役だけなので、この書類は省略がOKであった。

・責任技術者との使用関係を証する書類
 さきほどのFD申請のところでも記したが弊社の場合は責任技術者=代表取締役であるため、会社との使用関係も何もないだろうと思い、提出を省略する旨を記載したところそれはNGであった。代表取締役であっても使用関係の書類が必要になる。当社が作成した書類の内容は、雇用者と被雇用者を記載し、社判を押した書類とした。業務内容は「医療機器製造業 責任技術者」と記載し、時間、休日の規定を合わせて書き込んだ。

・構造設備の概要一覧表
 ここからは具体的な製造所の書類にある。概要一覧は、作業所の延床面積や貯蔵設備、試験検査設備等を記載した書類である。当社の場合は、事前相談にある程度の内容を整理してあったため、その内容を書き写して提出したが、後日、延床面積の間違いを指摘され、修正することとなった。

・図面(製造所の平面図、敷地内の建物配置図)
 製造所の図面は結局パワーポイントで作図したものを最終版として提出した。面積が計算できるように寸法を入れる必要がある。ちなみに建物配置図には寸法は記載しなかった。

・製造設備器具、試験検査器具の一覧
 それぞれの機器リストを作成した。記載した項目は、名称、メーカー、数量である。

・予定製造品目リスト
 製造を予定している品目のリストである。記載した項目は以下の6項目である。
  ①類別
  ②一般的名称(クラス分類)
  ③販売名又は原料・資材名
  ④承認番号等(承認等年月日)
  ⑤製造販売業者名(許可番号)
  ⑥当該製造所で行う工程
 当社の場合は、まだ販売前の製品であるため、種別、一般名称(クラス分類)は医療機器リストから該当するものを記載し、販売名は一般名称を書き、承認番号は「製造販売届提出予定」とした。製造販売業者は既に決まっていたので、その販売会社の内容を書き、工程については「組立・包装・表示・保管」と記載した。

・案内図
 審査担当者が車で来るため迷わないように提示する必要がある。当社の場合は、Google MAPに写真等を加えて案内図を作成した。

 以上が当社で医療機器製造業を申請する際に準備した書類の内容および作成手順である。それなりのボリュームはあるものの、作成がどうしても難しいというものはないと思う。
 今回の申請編①は書類の作成を中心に紹介したが、次回はこれらの申請書類を実際に埼玉県庁に提出しに行った時の様子をドキュメントとしてご紹介する。