毎度同じような書き出しになってしまいますが、今回も大きく時間が開いてしまいました。
前回のメディコラムが7月ですので、3か月ぶりの更新になります。これではダメですね。当社のウェブサイトに訪問いただける方に有益な情報をお届けしたい、医療機器をもう少し身近に感じていただきたい、そんな思いで始めたCarter’s BLOGでありますが、なかなか定期的に更新できずに常に反省しております。

さて、気を取り直して、今回のメディコラムですがテーマは、医療機器に大変近い存在でありながら、医療機器とは異なる美容機器に関するお話です。特にレーザー治療に関するお話を中心にご紹介できればと思います。

まず、医療におけるレーザー治療ですが、最近はさまざまな分野で使用されるようになりました。病巣がある部分をピンポイントで狙えること、強力で幅広い病気に対して使用できることといったメリットから普及が拡大しています。またYAGレーザーをはじめ最先端の技術が続々と導入されている点も大きな理由でしょう。最近では虫歯治療にも用いられるようになっています。あの「キュイーン」という音の治療が避けられるのならば、虫歯治療ももう少しハードルが下がるのになぁと思うのは私だけではないと思います。

そんなレーザーですが、普及によっていろいろな問題点も生じるようになっています。その最大のものが美容方面への使用です。
技術の進歩によって以前は医療機関でなければ導入できなかった効果・大規模な装置がエステなどの美容関連施設でも導入できるようになったのが大きな理由です。この流れは今後ますます推し進められていくことでしょう。
その一方で医療機器と美容機器の境界が曖昧になっている面もあります。家庭用のマッサージ器も医療機器に含まれるように、病気・怪我の治療に使用される装置以外にもさまざまな機器が医療機器に分類されます。エステや自宅で美容機器として何気なく使用している機器はじつは医療機器の可能性も高いのです。
エステで施術を受ける場合には、この点が大きな問題点になる可能性もあります。本来医師の資格を取得していなければ使用することができない装置をエステティシャンが使用して問題になるケースもあります。そこまでいかなくても十分な知識を持っていないエステティシャンによって問題が生じてしまうケースもあるのです。レーザーや日焼けサロンでの火傷はその代表的な例でしょう。また、エステがレーザーを使ったことで問題が起こったり、逮捕者が出たといったニュースも聞いたことがあるかも知れません。

212241

このように本来医師でなければ使用してはいけない機器をエステ等で使っていたという事例はわかりやすいのですが、「エステでは出力を抑えて使用しているので問題ない」といった見解が出たり、レーザーと同じく光を照射して施術を行う光治療がエステで普及するようになったことで、よくわからない状況になっています。この点に関しては非常に微妙なうえに曖昧な面もあり、はっきりとした判断が行われていないというのが現状です。
かつて厚生労働省が「毛根部分にある毛乳頭や皮脂腺開口部などを破壊するといった行為は医師以外が行ってはならない」という見解を示しており、それが一応の目安となっています。ただどこまで使用すればこうした状態になるのかはわかっておらず、難しいところがあります。

治療に使用する際には、あらかじめ医療機関で使用する場合とエステとの違いを、患者さんにきちんと説明しておくことも医師の大事や役割なのかもしれません。
また、自宅で使用できるレーザー美顔器や脱毛器も登場している現在、私達ひとりひとりがこの違いをしっかりと把握しておく必要が出てきました。正しい用法で行わないと、とんだトラブルに見舞われてしまう恐れがあるのです。現代の医療機器は安全性が確実に向上していますが、それも正しい用法で用いることが大前提、ということだけは忘れないようにしたいものです。

以上、メディコラムでした。次回もよろしくお願いいたします。