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前回のブログでは、内視鏡の進化を例に取って、医療機器は様々なニーズに基づき開発されるべきであるという主張をしました。
今回もやはり開発のツボ的なお話をしたいと思います。医療現場では、日々様々な事象が起きていて、それに対応すべく、幅広い用途に対応した医療機器が開発されています。今回は、高齢者を中心とした医療、特に在宅医療の現場を取り上げ、どのような医療機器が望まれているかを紹介します。

在宅医療は、患者が自宅で療養し、そこへ医師や看護師らが訪問し、診察ならびに治療を行う医療である。リハビリなどを行う療養期の病院で入院していた患者が、容態が改善し自宅へ復帰できる状態になると、この在宅医療を受ける状態に移行する。また、近年顕著に増加している認知症の高齢患者も、退院できる状態になると在宅医療を受けながら徐々に社会復帰へと向かっていく。

高齢者が非常に多い日本において、在宅医療の重要性は極めて大きい。また、在宅医療は、医療が行われる現場が病院やクリニックといった医療機関ではないところに特徴がある。そのため、そこで求められる医療機器も、異なる視点が求められる。

例えば、血圧を測定する機器(血圧計)を例にとると、従来の血圧計は在宅医療の現場には即していなかった。従来のタイプは、手でポンプに空気を送る手間がかかり、その空気圧で測定された血圧の値は水銀計でアナログ的に示されるものであった。しかもその機器のサイズは小さいものではない。最近ではデジタル型のものもあり、正確な数値が瞬時に測れるタイプもあるが、やや大きいサイズである。

在宅という医療現場においては、このような血圧計は適していない。まず、訪問診療する医師・看護師らは、持ち運びできる機器しか患者宅へ持ち込めない。よって、携帯型の血圧計が求められる。加えて、医師らは複数の患者宅へ訪問するスケジュールで動いており、より効率的に診療を終えなければならない。場合によっては、かなりの数の患者を抱えている医師もいるため、空気ポンプでのんびり測定している余裕がないことが多い。そのため、簡易的であってもより早く結果が得られる血圧計の方が望ましい。この点においては、正確な血圧値よりも携帯性・効率性の方が重要である。

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また、データがアナログだとデータの管理が難しい。在宅医療の場合、医師は患者のデータをノートパソコンやタブレット型端末で管理しており、血圧計の結果をそのままダイレクトにパソコンへ自動的に取り込めるタイプが望ましい。

このように、医療現場を見てみると、従来の医療機器とは異なるニーズが見えてくる。特に在宅医療は、比較的新しいタイプの医療であるため、機器の開発においては、より新しい視点が必要になる。つまり、今後の医療機器の開発を進める上で重要な手掛かりは、医療現場にあると言える。近年では、医師が積極的に医療機器メーカーと関わり、共同で開発する例が増えており、今後はさらに医療現場に即した機器が開発されてくると期待される。